最新 hohiのPali語学習・作業記録

最終更新時間: 2015-06-29 12:47

「初期仏教キーワード」

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初期仏教キーワード星飛雄馬さんの著書「初期仏教キーワード」をご紹介します。

タイトルは「初期仏教キーワード」ですが、実態はAbhidhammatthasaṅgahaのキーワード解説とも言える内容です。そして、citta, cetasika, rūpaなどの分析が大変見通し良く見渡せるように工夫されています。本文では、各キーワードの解説が簡潔に記されています。ブッダの教えを体系的に眺める上でのハンドブックとして大変役に立つと思います。

本書のAbhidhammatthasaṅgaha的な性格は構成と内容の両方でそう言えます。もちろん、これは「スマナサーラ長老と藤本晃博士による『ブッダの実践心理学』シリーズの副読本として(…)編まれた」(本書「はじめに」より)ことから自然な流れに思われます。

(私の不勉強もありますが)このような主題で仏教キーワードを解説する本は、あまり例がないのではないかと思われます。近いものでは、Nyanatiloka長老の"Manual of Buddhist terms and doctrines"がありますが、こちらはSutta・Abhidhammaに関する網羅的な辞書の性格と言えそうです。

本書の構成

まず全体の構成はぼほAbhidhammatthasaṅgahaに沿っています。

全体の構成を抜き書きしてみましょう:

  1. paramattha-sacaca (勝義諦)
  2. citta(心)に関する言葉
  3. cetasika(心所)に関する言葉
  4. rūpa (物質)に関する言葉
  5. 瞑想に関する言葉
  6. その他の初期仏教の言葉
となっています。

一方、Abhidhammatthasaṅgahaの目次は次のようになっています:

  1. Citta-saṅgaha-vibhāga (心の分析)
  2. Cetasika-saṅgaha-vibhāga (心所の分析)
  3. Pakiṇṇaka-saṅgaha-vibhāga (雑多な部分の分析)
  4. Vīthi-saṅgaha-vibhāga (認識の分析)
  5. Vīthimutta-saṅgaha-vibhāga (離路の分析)
  6. Rūpa-saṅgaha-vibhāga (物質の分析)
  7. Samuccaya-saṅgaha-vibhāga (集(分類)の分析)
  8. Paccaya-saṅgaha-vibhāga (縁起の分析)
  9. Kammaṭṭhāna-saṅgaha-vibhāga(瞑想対象の分析)

(ちなみに『ブッダの実践心理学』シリーズでは「物質の分析」を一番最初に行っています)。

内容

本書の目次がまさにAbhidhammatthasaṅgaha のsummaryになっています。これにより見通しよく眺められるようになっています(23ページ・55ページ・83ページには一ページに収まるように再掲されています)。

例えば「第一章 cittta (心)に関する言葉」の目次を見て抜き書きしてみましょう:

  1. kāma-avacara-citta — 54種類
    1. akusara-citta — 12種類
      • (1)-(8) lobha-mūla-citta — 8種類
      • (9)-(10) dosa-mūla-citta — 2種類
      • (11)-(12) moha-mūla-citta— 2種類
    2. ahetuka-citta — 18種類
      • (13)-(19) akusara-vipāka-citta — 7種類
      • (20)-(27) ahetuka-kusala-vipāka-citta — 8種類
      • (28)-(30)ahetuka-kiriya-citta — 3種類
    3. sobhana-citta — 24種類
      • (31)-(38) mahā-kusala-citta — 8種類
      • (39)-(46) mahā-vipāka-citta — 8種類
      • (47)-(54) mahā-kiriya-citta — 8種類
  2. rūpa-avacara-citta — 15種類
    1. (55)-(59) kusala-citta — 5種類
    2. (60)-(64) vipāka-citta — 5種類
    3. (65)-(69) kiriya-citta — 5種類
  3. arūpa-avacara-citta — 12種類
    1. (70)-(73) kusala-citta — 4種類
    2. (74)-(77) vipāka-citta — 4種類
    3. (78)-(81) kiriya-citta — 4種類
  4. lokuttara-citta — 8種類
    1. (82)-(85) magga-citta — 4種類
    2. (86)-(89) phala-citta — 4種類

索引

索引は英語のアルファベット順です。これには賛否が分かれるところだと思います。本書は基本的にパーリ語表記を主にして扱っているので、個人的にはパーリ語の順番の方が良いように思えます。

まとめ

スリランカ、ミャンマー(ビルマ)などの仏教国では当たり前のように学ぶ Abhidhammatthasaṅgahaの内容をコンパクトに見渡せるようにする試みの本書は、大変役立つ以上に、「ブッダの実践心理学」シリーズと合わせて、そういった仏教国の方々と同じバックグラウンドを共有するための一歩になるのではないかと感じています。

本書「はじめに」に『すべては収録することをはできませんでした』とあることから、今後さらに充実していくことを期待できそうです。


初出: Tue December 30 2008 20:24 (+0900)

修正: Thu January 01 2009 09:50 (+0900)

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「この瞬間がすべての幸福— Present Moment, Wonderful Moment」

[][瞑想]

ティク・ナット・ハン師のPresent Moment, Wonderful Momentを星 飛雄馬さん翻訳されたものです。本の表紙

職場での出来事で乱れる時が多いな、日常の気付きが上手く出来ないな、と思ってヒントになるものはないかと探していたところに、原書のサブタイトルが目に止まりました。それはは"Mindfulness Verses For Daily Living"、「日常での気づきのガーター」という意味あいでしょうか。早速、原書を読みはじめたところに、星さんが翻訳を出されることになりました。(なんという偶然でしょう。)

この本は、私達の日常のやることに関する全部で53の偈(ガーター)が詠まれ、それぞれに短いエッセイ風の法話が書かれています。

日常の気づきのヒントがたくさんあると思います。

70ページから:

「息を吸い、私は自分の身体を鎮めます」「息を吐き、私は微笑みます」これを三回繰り返しま す

座る瞑想のまえに、これをするととても穏かに瞑想を始められる時があります(そうでない時もあるのですけどね…)。

…そして自分自身に「もし私が今平安や喜びを感じないなら、いつ平安と喜びを得ることができるだろう?明日だろうかそれともあさってだろうか?何が原因で今この瞬間幸せになれないのだろう」と尋ねてみましょう。

落ち込んでる時や、怒っている時は、このように問題をよく観察して、なにが本当の問題なのかをはっ きり認識することが大事だと思います。

うまく瞑想が出来ないときには、原因を瞑想の対象にすることを思い出させてくれます。

瞑想の時はもちろん、朝目覚めてから、トイレ、手を洗う、服を着る、お風呂に入る、食卓の準備をする、食事をする、皿を洗う、電話をする、テレビをつける、掃除をする、車を運転する、これら日常での私達が行うことに気づくためのガーターが優しい言葉で詠まれています。

172ページからの「気づきのある食事とは」を読んで、普段の食事の時をとても反省させられます。

呼吸をしたら、微笑みます。他の人たちと一緒に食卓を囲むときは、真の友愛の微笑みと理解を 表すチャンスです。それは大変簡単なのに、そうしている人は少ないものです。

食事の時こそ家族全員が集まる時です。我が家でも、まず食卓に座るところから実践しはじめました。

この本のガーターを日常の瞬間・瞬間で思い出し、気づきを絶やさなければ、幸福な瞬間が連続する ことになるわけです。でも実際には「忙しさのあまり、自分が今やっていることを忘れたり、自分が 誰なのか、忘れてしまうことがあります。」(6ページ)そんな時でも、この本のタイトル「今の瞬間 が全ての幸福, Present Moment, Wonderful Moment」を思い出して、気づきに優しく戻せるように努 めようと思わせてくれる本です。

こうやって、引用しているとよく分かりますが、訳もとても自然で優しい日本語です。星さんのお人柄と、ティク・ナット・ハン師への尊敬の念がうかがえます。



初出: Sat January 19 2008 21:34 (+0900)

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アビダンマのマインド・マップ

[][アビダンマ]

アビダンマのマインド・マップ

スマナサーラ長老・藤本晃先生のアビダンマ講義シリーズの内容を、マインド・マップでノートをつくってみました。(まだ完成という訳ではありません。細かいノートは不十分なところがあります。)

こちらのページで御覧下さい。(flashを使っていて、ノードをマウスでクリックすると、ノードを展開・たたむことが出来ます。)

ソフトウェアはfreemindを使っています。 freemindのファイルはこちらです。御自由にお使い下さい。

下はスクリーンショットです。

画像

リンク先変更: Mon February 23 2009 16:45 (+0900)

修正: Wed December 31 2008 21:30 (+0900)

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無駄をなくすための13ヶ条

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無駄をなくすための13ヶ条

〜スマナサーラ長老の「有意義な生き方」91ページから

  1. 私の生き方は私自身の役に立っていますか?まわりの人たちの役に立っていますか?
  2. 心を汚さずに成長していく生き方をしていますか?
  3. 日々、徳(良いこと)を積む生き方をしていますか?
  4. 今日は良いことをしましたか?
  5. 小さなことでも投げやりにならず、真剣にやっていますか?
  6. 日々何かを学んだり、経験を得たりしていますか?
  7. 欲・見栄・高慢・嫉妬・落ち込み・怒りなどの感情に負けていませんか?
  8. 刺激的な快楽からではなく、日常生活から充実感を得ていますか?
  9. 資源と時間の使用を最小限にする努力をしていますか?
  10. 怠けて手抜きをする生き方ではなく、活発に生きていますか?
  11. すべての生命に対して慈しみがありますか?
  12. 人生のすべての一分一秒は一回限りであり、再生できないことを理解していますか?
  13. 興奮・混乱・緊張の状態より、落ち着いていて心が平安である状態が幸福であると理解していますか?

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どのような人間になる(なってしまう)のか

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K. スリダンマナンダ大僧正 (出村佳子さん訳)の

"WHY WORRY〜第二部 悩みを乗り越える" 22ページから

外の物事は、内の思考ほど、心に強く影響を与えることができません。私たちは心で考えているような人間になるのです。

Why Worry

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虎のたとえ話〜スマナサーラ長老の「苦しみをなくすこと」から

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虎のたとえ話

スマナサーラ長老の「苦しみをなくすこと」 198ページから。

なぜ、捨てることが最終解脱につながるのでしょうか?これからお話しするたとえで考えてみて 下さい。

ある人の所に凶暴な虎が来ました。もちろんすごく怖かったのですが、よく見ると虎はすごくかわ いくて美しいし、貴重な動物なのです。そこでその人には「いつか自分が殺されて食べられてしま うかもしれないけど、それでも虎はすごい」という愛着が出てきました。それで、その人は結局虎 を飼うことになるのです。

いざ飼い始めると、毎日餌をあげなくてはいけないし、危険だと知りながらも檻をきれいにしなければいけません。虎は満腹状態であれば人間を食べることはありませんから、餌をあげればしばらくは安全なのです。でも、虎の脅威は完全に消えるわけではなく、少しの手違いで最悪なことにもなりかねない。そんな状況です。

しばらくして、一時的な安らぎの連続に飽きたその人は、虎に対する執着を捨てるのです。餌をあげた瞬間だけは、一時的に「今日は一日良かった」と思うのですが、もしも明日餌をあげなかったら、もうたいへんなことになりますから、すぐに「明日もまた肉を探さなくては」ということになるのです。

それで、この人は頑張ってはいたのですが、ついにやり切れなくなって虎に対する執着を捨てて、虎から離れるのです。動物園にあげたとか、森に逃がしたとか、皆さんの自由でなんでも想像してください。

虎を手放した瞬間から、自分が食べられてしまうことはもうないので、その人は消えない安全と安らぎを得るのです。虎がいた間は、一日一日、なんとかやっていただけであって、次の日もまた頑張らないといけないという状態の連続だったのです。

このたとえ話で言いたかったのは、なくす楽しみは長持ちするということです。捨てることで得る幸福は、それこそ永遠なのです。得たものはいつか消えてしまいますから、得る楽しみはだめなのです。

今までの話をまとめてみましょう。ブッダはあまり言わないことですが、「有」から得る幸福は有限であり、「無」から得る幸福は無限です。少し哲学っぽい単語を使ってしまいましたが、ブッダが語っている解脱こそが本物の幸福です。嘘ではないのです。

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批判の受け止め方

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批判を恐れない

K. スリダンマナンダ大僧正 (出村佳子さん訳)の

"WHY WORRY〜第二部 悩みを乗り越える" 39ページから

褒められると嬉しいでしょうが、褒められ過ぎると気分が悪くなります。反対に、批判は苦い薬や 痛い注射のように不快なものですが、役に立つこともあるのです。

真摯な批判を恐れないで下さい。どんな人も、偉大な人でさえ、まったく批判されない人はいないということを覚えておいてください。一般的に、批判というものは無意味なものです。なぜなら、批判された人は身を守ろうとし、たいていは防衛的になるからです。批判は危険なものでもあります。大切なプライドが傷つけられ、自分は偉いという感情が害されて、怒りを呼び起こすからです。しかし、なかには建設的な批判もあるのです。ですから、私たちは批判に耳を傾けなければなりません。建設的な批判は自己を改善する良い機会になりますから、歓迎すべきでしょう。エゴを制御してください。そして自分を批判した相手に腹を立てないように。また、違う意見を持つ人に対してすぐに「敵」というラベルを貼ってはなりません。自分を批判した人がすべて「敵」ではないのです。ですから、誰かに批判されたときには肯定的な態度で「この批判は何か根拠があるのだろうか、何か学ぶべきことがあるだろうか」と耳を傾けることが大切です。もしかすると、これまで気づかなかった自分の欠点を発見できるかもしれないのだから。

Why Worry

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仏教徒の日記(ブッダの実践心理学第三巻から)

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p. 175-176から。

自分の記録は、単なる自我意識の羅列で、自慢したくなることや悔やしいことばかりで、記録すること自体もあんまり明るい行動ではないのです。「私という人間がここにいましたよ」とみんなに言いたがっているだけです。そういうことではなくて、「善いことを思い出してください。善いことをしたら、それを書いておいてでも、忘れないでください」と言うのです。

「思い出すたびに、また、その善行為の徳を積みますよ。思い出せば思い出すほど、自分が過去に 行なった善行為の徳がどんどん増えていきます」と説法するのです。そうすると、信仰深い人々は それを信仰の立場から受け取って、善いことをしたら、それを何度も何度も思い出してこころで念 じて、さらに徳を増やしてもらおうとがんばっています。言葉通り簡単に理解して、簡単に実践し ています。これがまた、本当に正しいことなのです。

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