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[マッジマ・ニカーヤ][象跡喩大経]

2009-11-01

目次


日本語訳

1060友よ、もし、その比丘に他が罵り、悪口を言い、怒らせ、困らせるなら、彼はこのように知ります—「実に、私に生起したこの耳に触れて生じたものはドゥッカの受です。実に、それは(原因に)縁るもので、(原因が)に縁らないものではありません。何に縁るのでしょうか?触に縁るものです」彼は触は無常であると知ります、受は無常であると知ります、想は無常であると知ります、行は無常であると知ります、識は無常であると知ります。彼の心は、要素の対象のみに入り込み、浄まり、確立し、志向します。

パーリ語

(5/21)

1060 Tañce, āvuso, bhikkhuṃ pare akkosanti paribhāsanti rosenti vihesenti, so evaṃ pajānāti—‘uppannā kho me ayaṃ sotasamphassajā dukkhavedanā. Sā ca kho paṭicca, no apaṭicca. Kiṃ paṭicca? Phassaṃ paṭicca’. So phasso aniccoti passati, vedanā aniccāti passati, saññā aniccāti passati, saṅkhārā aniccāti passati, viññāṇaṃ aniccanti passati. Tassa dhātārammaṇameva cittaṃ pakkhandati pasīdati santiṭṭhati adhimuccati.

Tañce, āvuso, bhikkhuṃ pare akkosanti paribhāsanti rosenti vihesenti, so evaṃ pajānāti—‘uppannā kho me ayaṃ sotasamphassajā dukkhavedanā

tañce:taṃ(taṃ「それ」acc.)+ ce「もし」 →「もし、その〜に」
bhikkhuṃ:bhikkhu (acc.)「比丘に」
pare:para 「他の」(sg. loc.m. pl. acc.) →
akkosanti:akkosati 「罵る・そしる」(pl. 3rd.) →「罵る」
paribhāsanti:paribhāsti 「誹謗する・悪口を言う」(pl. 3rd.) →
rosenti:roseti「怒らせる・悩害する」(pl. 3rd.) →
vihesenti:viheseti 「困らせる・悩ませる・苦しめる」(pl. 3rd.) →
pajānāti: pa +ñā+ nā knows clearly.「知る・了知する」 →「知る」
uppannā:uppanna 「生起する・発生した」(a. f. sg. nom.) →
sotasamphassajā:sota 「耳」+ samphassa 「触」+ja 「生じた」(a. f. sg. nom.) →
dukkhavedanā:dukkha 「ドゥッカ」+ vedana 「受」(f. nom.) →

友よ、もし、その比丘に他が罵り、悪口を言い、怒らせ、困らせるなら、彼はこのように知ります—「実に、私に生起したこの耳に触れて生じたものはドゥッカの受です。

Sā ca kho paṭicca, no apaṭicca

:sā(sā「(女性名詞)は」 nom.) →「それは」
paṭicca: ind. & abs. on account of; because of; concerning.「縁りて・〜のために・〜の理由で」→
no:negative and adversative particle.→
apaṭicca:a (否定)+ paṭicca→

実に、それは(原因に)縁るもので、(原因が)に縁らないものではありません。

Kiṃ paṭicca? Phassaṃ paṭicca’

paṭicca?:paṭicca? →
phassaṃ:phassa 「触」(m. acc.) →
paṭicca’:paṭicca’ →

何に縁るのでしょうか?触に縁るものです」

So phasso aniccoti passati, vedanā aniccāti passati, saññā aniccāti passati, saṅkhārā aniccāti passati, viññāṇaṃ aniccanti passati

phasso:phassa 「触」(m. nom.) →「触は」
aniccoti:anicca 「無常の」(a. m. nom.)+iti →「無常である、と」
passati: dis + a; dis is changed to pas. sees; finds; understands.「知る・理解する」→「知る」
vedanā: f. pain; sensation.「受」(f. nom.)→「受は」
aniccāti:aniccā(f. nom.)+ ti →「無常である、と」
saññā:saññā「想」(f. sg. nom.) →「想は」(『想saññāは何か「違いを感じる」というだけのはたらきなのです』スマナサーラ長老・ブッダの実践心理学第二巻 p291)
saṅkhārā:saṅkhāra 「行」(m. pl. nom.) →「行は」(『意味は「でき上がったもの」「組み立てられたもの」、実体ではない、ということです。すべてはサンカーラsaṅkhāraである。こころも物質もサンカーラなのです。…「はたらき」「作用」という意味で「行」にしたと思います。』スマナサーラ長老・ブッダの実践心理学第三巻 pp239-240)
viññāṇaṃ:viññāṇa 「識」(n. nom.)(『vedanā(受)で感受し、saññā(想)で区別した ārammaṇa(所縁)の情報を認識し、理解すること』星飛雄馬著・初期仏教キーワード p136) →
aniccanti:aniccaṃ(n. nom.)+ ti →「無常であると」

彼は触は無常であると知ります、受は無常であると知ります、想は無常であると知ります、行は無常であると知ります、識は無常であると知ります。

Tassa dhātārammaṇameva cittaṃ pakkhandati pasīdati santiṭṭhati adhimuccati

tassa:tassa (gen.?)→「彼の(心)」
dhātārammaṇameva:dhātu 「要素」+ārammaṇa 「所縁・縁境・対象」(n. acc.)+ eva 「こそ・のみ」 →「要素の対象のみに」
pakkhandati: pa + khand + a springs forward; jumps on to.「躍進する・跳ねて行く」 →
pasīdati: pa + sad + a becomes bright; pleases or purifies; is clear or devoted.「浄まる・喜ぶ」 →
santiṭṭhati: saṃ+ ṭhā+ a stands still; remains; to be fixed orsettled.「確立する・定立する・留まる」 →
adhimuccati: adhi + muc + ya attaches or inclines towards; possesses by aspirit.「勝解する・信解する・心を向ける」→

彼の心は、要素の対象のみに入り込み、浄まり、確立し、志向します。


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訳が拙い・不適切なところがあるかも知れません。御指摘あれば幸いです。

初出: Sun November 01 2009 22:01 (+0900)


パーリ語はe-Tipiṭaka Quotation (World Tipiṭaka Edition 2005)のパーリ経典を元にしています